バルサミコ酢に代表される酢の種類

一口に酢といっても、実に様々な種類があります。

ここでは一度は名前を聞いたことのある、有名どころをピックアップしてみました。

りんご酢とは

りんご酢は昔から使われてきた有名な調味料の一つです。

ピクルスを作る際にも用いられ、100年前のアメリカでも、開拓者達の保存食作りに役立ってきた歴史があります。

もちろん今現在の日本でも、全国各地で盛んに作られています。

またイギリスにはこういったことわざがあります。 「An apple a day keeps the doctor away」(1日1個のりんごは医者を遠ざける)。

この言葉の通り、原材料のりんごは非常に栄養価にすぐれており、食物繊維、ビタミンC、 ミネラル、カリウム、そしてなんといってもポリフェノールの存在を忘れてはいけません。

りんごの中にはポリフェノールの一種である、アントシアニン、ケルセチン、カテキンが多く含まれています。 アントシアニンは疲れ目に効き、肝機能の向上にも効果がみられます。

ケルセチンは脂肪吸収を抑えたりコレステロール値を下げたり、虫歯になりにくい効果があります。 そしてカテキンですが、殺菌、感染予防、インフルエンザなどに効果があります。

最近では、カテキンの一種でプロシアニジンといわれる物質が注目されており、ガン細胞の増殖や腫瘍肥大を抑える効果が期待されつつあります。

ガン細胞は一般的に放射線や紫外線、活性酸素、発がん性物質などによってDNAが損傷または破壊されることによってガン化し、場合によっては無限に増殖、隣の臓器、離れた臓器に転移する可能性をはらんでいます。

ですが、りんごに含まれるプロシアニジンを摂取することによって、進行を遅らせる効果が期待されています。

一説には肺ガンに特に効果があり、よく接種したかしないかでガン化のリスクを58%程度軽減できるらしく、他に関しても20%に達するとの研究結果があります。

飲みやすいりんご酢

そして近年では上記などのような理由により、りんご酢を使って健康ダイエットが女性を中心に流行っているのがここ数年。

ちなみに、一般の酢の匂いはツーンと刺激臭がありますが、りんご酢はそれが比較的ありません。

それは匂いのもとの酢酸より、りんご酸やクエン酸が多く含まれ、これらは不揮発性であるから です。

飲み方としてはいろいろあるようですが、個人的には先ほどあげたプロシアニジンは加熱すると効果が増すらしいので、皮ごとすりおろし、はちみつを足し、電子レンジで好みに加熱のち炭酸水やコーラで割ると美味しいです。

りんご酢はその甘い香りと酸味により、サラダドレッシング、肉にも魚にもなんでも合います。 自分なりの使い方を見つけてみましょう。

バルサミコ酢とは

世界各地に存在していますが、中でも最高峰と呼ばれているのが、バルサミコ酢。

その歴史は古く、確認できるだけでも約1000年前にはすでに存在しており、イタリア語ではアチュート・バルサミコ(誇り高い酢)と呼ばれています。

もともとはイタリア中部の貴族が自家用として製造し、それは一種の権力の象徴でした。 そして別名「公爵様の酢」と親しみをもって呼ばれています。

今現在でもその需要・価値は高く、イタリアの食の法律DOP(原産地管理呼称法)によって品種からその工程まで厳しく規定、審査されています。

本来はモデナ地区とレッジョ地区で造られたものだけをバルサミコ酢と呼んでいて、中には100年を超え熟成されるバルサミコ酢もあり、それらはストラヴェッキオ(大変古い)と呼ばれています。

といっても現在では普及品もあり、4、5年程度の熟成で後は色や甘味をつけるために、カラメル色素などを使ったものがあり、比較的簡単にバルサミコ酢風調味料は手にはいります。

もちろん、正規版とは異なり香りや風味は劣るが決して味は悪くないのはいうまでもありません。

バルサミコ酢はワインビネガーと同じくブドウを原料とした果実酢ですが、その製法は一風変わっています。

一般のワインビネガーは、ブドウ果汁に酵母菌を付着、アルコール発酵させたのち、次に酢酸発酵させ完成させます。

ですがバルサミコ酢は、特定の品種を皮ごと煮詰めて糖度を上げたのち、木の樽に仕込み自然発酵させ、水分の蒸発とともに、木樽を小さくしたり継ぎ足したりしていくことによって熟成させていきます。

ここで大切なのが、用意された木樽はそれぞれ種類が違っており、造り手によって移し替える順番がちがったりして風味、香りの違いが生まれてきます。

まさにバルサミコ酢は唯一無二の存在なのです。

ポリフェノール

そんな伝統あるバルサミコ酢ですが、やはりブドウが原料とあってポリフェノールを多く含んでいます。

血液循環が良好になり、冷え性、肩こり、骨粗鬆症の効果が確認されています。

ポリフェノールだけでいえば黒酢の三倍は含まれていることになり、皮と種に多く含まれているプロアントシアニンに抗酸化作用があり、若々しく健康な体を保つことにつながります。

またバルサミコ酢は、独特な香りや風味に優れており、欧州を中心に様々な料理に使われています。

例えば、サラダのドレッシング(オリーブオイル大さじ2,5 バルサミコ酢大さじ1、塩コショウ少々)。 加えてデザートにもよく使われます(バルサミコ酢と砂糖を煮込んだもの)。

正直なところ日本ではあまり馴染み深いものではありませんが、もし冷蔵庫に眠らすぐらいなら、 積極的に使ってみることをオススメします。

きっと料理の幅は広がって、優雅に仕上げることができるでしょう。

ぶどう酢とは

ぶどう酢とは果実酢の一種で、その果汁がお酢1リットルあたり300g以上含まれているものをいいます。

また、ぶどう酢はその生成過程において果汁をアルコール発酵させたのち酢酸発酵させ熟成させるので、ワインビネガー、または酸っぱいワインと呼ばれています。

この酸っぱいワインですが、名前の通り昔はできの悪いワインと言われていて、空気中に触れさせていたら酢ができた、といった風に誕生した経緯があります。

もともと酢酸菌は空気中にも生息しているので、ワインに付着し、アルコールを酢酸に変化させることによってワインビネガーが出来上がるのです。

ワインビネガーに関して少し話がそれますが、昔フランスにパスツールという生化学者がいました。

彼は酵母を培養し、発育の結果としてアルコールが生成。 菌の酸素呼吸の代用として発酵がおこなわれるものであり、生きていくためのエネルギー生成の過程で造られたものと提唱しました。

それより以前は、発酵は生物に関わる余地は無いといった学者もいましたが、パスツールの一連の実験によって菌が生成に関係していることをつきとめました。

ちなみに彼は、低温殺菌法を開発しています。

これは普段私たちが行う熱処理のことで、液体などを70℃程度で熱し、バクテリヤやカビなどの細菌を滅菌する方法のことです。

いずれにせよ、菌がいなければワインも、ビネガーもできないことを知っておく必要があります。

赤と白のビネガー

話は戻りますが、ワインを酢酸発酵させている以上、やはり赤と白のビネガーが存在します。

赤ワインビネガーは、香りや渋みに優れているので、肉の煮込みや隠し味に。

白ワインビネガーは、渋みが少なくさっぱりとしているので、魚料理や野菜のドレッシングに適しています。

また成分としてアミノ酸は比較的少ないのですが、クエン酸、カリウム、酒石酸が多く含まれています。

中でも酒石酸は、クエン酸と同じ働きでエネルギー生成に役立ち、体をアルカリ性に保つ役割をもっています。

活性酸素の発生を抑え、免疫力向上にも役立つと言われています。

一方で整腸作用に優れていると言われていますが、どうも科学的には十分に立証されていないようです。

実のところ、ワインビネガーの効能自体は全てが未だ解明できておらず、まだまだ新しい発見があるかもしれません。

これからも注目され続ける存在、それがワインビネガーなのかもしれません。

穀物酢とは

穀物酢とは、内容量1リットルあたり穀物が40g以上使われている酢のことを指します。

よって皆さんがご存知の米酢も黒酢も穀物酢に分類されるわけですが、世の中には本当にいろいろな種類があります。菌とデンプンあるところ酢あり。

穀物酢の紹介

ここでは、そんな穀物酢たちを紹介していきたいと思います。

粕酢

江戸時代後期、酒造業の中野又左衛門という人物が、中部地方にある尾張半田村で、酒粕から酢を造ることに挑戦したのが始まりと言われています。

米酢に比べて麹臭が少なく、日本料理や寿司によく合うようです。

酒粕には、ペプチドやアミノ酸など健康にいいものが沢山はいっています。

ハトムギ酢

あまりメジャーではない酢ですが、ハトムギだけにこだわった業者さんもいるようで、おもに薬用や漢方として需要があります。

また、牛乳やハチミツに混ぜたら美味しく、利尿作用や抗腫瘍作用に期待がもてます。

香醋

中国の黒酢で、そのなんともいえない独特な香りが他を寄せつけない一品です。

鎮江香醋(ジェンジアンツーアンツー)と呼ばれる中国三大名酢もお土産で有名所です。 原料は主に玄米、もち米、コーリャン、麦、塩、砂糖などで、ダイエット、コレステロール、二日酔い、美肌に良いと言われています。

トウモロコシ酢

日本では食品というよりは掃除に使われる傾向がある酢です。

お酢にしては匂いが抑えめで、化学洗剤より天然で効果があるもの、といったことが主な理由なようです。

もちろん食品として問題なく、味はさっぱりしているのでドレッシングに最適です。

スパイスビネガー

フィリピンなどの煮込み料理に欠かせなく、サトウキビを主原料に唐辛子、タマネギ、ニンニクを混ぜた、酸味と辛味を伴う酢。

ミネラル、ポリフェノール、オクタコサノール(脂肪燃焼、ストレス緩和効果)などの効果があります。

ちなみに向こうではSUKA(スカ・酢)と呼びます。

大麦黒酢

大麦のみを原料にした酢で、あまりクセもなく調理につかいやすいです。 肝臓や胆のうに良いとされています。

モルトビネガー

イギリスやドイツでは一般的な酢であり、飲食店に行くと備え付けで置いてあることが多く、日本ではあまり馴染みがありません。

日本名になおすと麦芽酢でビールを酢酸発酵させたものです。 クセが強く肉料理やサラダにうってつけです。

以上が、穀物酢の有名なものです。

しかしながら世界中にはさらにたくさんの酢が存在し、その数は数千種類にのぼるといわれています。

それはデンプンが入った穀物と菌さえいれば、基本はどんなものからでも造れるからです。

菌が凄いのか、穀物が凄いのか。 自然が凄いといえばおさまりがいいかもしれません。

個人的には、造った酢を初めて口に入れた人に敬意を表したいと思います。

米酢とは

酢は今から何千年前に存在した形跡があり、日本には4、5世紀の古墳時代や弥生時代に酢の醸造技術、保存技術が稲作技術と共に中国大陸より伝わってきました。

当時の酢は今と違って一部の人間しか口にすることができず、薬や漢方薬といった側面が強かったようです。

一般庶民が簡単に手に入れるようになったのは江戸時代になってからで、現在では料理には欠かせない身近な存在となっています。

伝統的な米酢

米酢は文字通り米を原料としていますが、中には玄米を原料とした酢や小麦を含んだものもあり、単純に米酢といってもいろいろ種類があります。

そして、その製法も伝統的なものは実に手間暇かけて丁寧に造られます。

1.米麹造り

丁寧に洗米、半日ほど水に浸したら蒸しあげる。

2.床製麹

麹菌を蒸し米に付着させる作業。

3.棚製麹

二日もすると菌の繁殖も盛んになり、表面も乾くのでほぐす作業を行う。

4.出麹、枯らし

米麹を外気にさらし、湿気をとばす作業。米麹の完成。

5.酢もともろみ造り

新しく米を蒸し、樽内に仕込み水と酵母菌を投入。米麹と蒸し米を徐々に入れていき、数日経つと麹菌、酵母菌の働きで糖化とアルコール発酵が始まり、二日程度で酢もともろみが完成する。

6.米酢造り

酢もともろみを水で割り、酢酸菌の投入、これによってアルコールが菌の働きによって酢酸に変化していく。静置発酵法。

7.熟成、殺菌、出荷

数ヶ月寝かしたのち、熱処理殺菌し、出荷。

上記の造り方は大まかな流れで、全国浦々の職人によって実に多彩な酢が造られており、気候も影響すれば、菌、水の品質、寝かし方など決して言葉で言い表せない感覚の世界で米酢は造られています。

といいつつも、普段市場で見かける酢は工業用に大量に造られており、製法も醸造用アルコールを用い数日で造り出されています。

一般的にこちらはアルコール濃度が高いものを醸しているため、アミノ酸などが格段に少なく、酢酸の影響で比較的すっぱい印象を与えてしまいます。

どちらが良いとか悪いとかは決して無いので、自分にあったものを選択するのがいいかもしれません。
それはそうと、日本には壺を利用して造った酢があります。

これはアマン壺と呼ばれるものを使うのですが、なんとも都合がよいことに最初から壺に酵母菌、酢酸菌が住み着いているらしいのです。

それなので壺に米、麹、水を仕込むだけで同時にアルコール発酵、酢酸発酵することができ、さらに1年、2年の歳月をかけてアミノ酸と糖が反応して独特な香りや色彩を醸しだします。

そんな米酢たちですが、なんといっても日本食に合う点が日本で普及しているおおきな理由ではないでしょうか。

お寿司を筆頭に酢の物、煮込み料理などその利用方法は無限に存在します。

職人さん達が丹精込めて造った酢たち、いろいろためしてみてはいかがでしょう。

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